ムダな葬儀費用はゼッタイかけたくない!葬儀社の現役社員が教える見積もり交渉術

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広告の金額よりも葬儀費用は高くなりがち

今回ご協力いただいた監修者のみなさん

「お葬式は必ずしなければなりませんか?葬式をするお金がまったくありません・・・」

「家族葬を検討していますが、かえって通常の葬儀よりも費用が高くなってしまうといわれました。本当にそうなのでしょうか?」

「葬儀費用を節約したいものの、必要な項目と不要な項目の違いがわかりません。あまりに質素な式にはしたくないのですが・・・」

ご家族の臨終から葬儀まで、悲しみと慌しさが同居する日々の中、もっとも遺族の頭を悩ませるもののひとつが葬儀費用です。

私も経験がありますが、できるだけ費用は抑えたいと思うものの、肉体的にも精神的にも疲れ果てているので、「とりあえず安いプランのある葬儀社に頼んでみよう・・・」「葬儀社の担当者にまかせてしまおう・・・」となりがち。

しかし、格安葬儀プランに惹かれて申し込もうとしているのなら、それはちょっと考えものです。

なぜなら、葬儀社のホームページで宣伝している格安葬儀プランのほとんどは、実際に申し込むと、30万~50万円ほど跳ね上がってしまうことが多いから。

とりあえず問い合わせをしてしまい、担当者を家に上げてしまったら彼らもプロ。
断るのにもエネルギーが必要です。

実は、事前にリーズナブルな葬儀社を見極めるのは、それほど難しくありません。
基本的なポイントを抑えておくだけで、費用を抑えながら満足のいくお葬式を執り行うことは十分に可能です。

ですから、事前になにも調べずに葬儀社へ電話してしまうようなことは、ゼッタイにやめておきましょう。

というわけで、こんにちは。
葬儀や終活に関するポータルサイト『ゆたかに』の編集者、木村と申します。
実のところ私、ゆたかにの編集に携わってからというもの、終活フェアに通うほど葬儀業界にハマってしまいました。

私がこれほどまで葬儀業界に興味を持ったのは、義父の葬儀がきっかけです。

旦那と一緒に葬儀社の担当者と話をする機会があったのですが、10名ほどの参列者の葬儀にもかかわらず、なんと100万円超の請求をされてしまいます・・・!

しかし、当時の私たちは本当に無知で、担当者にいわれるがまま、プランを組んでしまいました。

その結果、相場を大きく超えた大層な葬儀を執り行うことに・・・。
今思い返しても残念でなりません。

とはいえ、葬儀を依頼する喪主の多くが、我が家と同様に葬儀費用の相場を知りませんよね。
喪主を務めることなど、人生に何度もありませんから当然です。

でも、葬儀の下調べをせずに葬儀社に相談するのは、武器を持たずに敵地に乗り込むようなもの。

葬儀費用をおさえたいなら、どの程度の予算で行うか、なにが必要でまた不要なのかをしっかり決めておくことが大切です。

たとえば、不要なオプションの代表格であるエンバーミング

エンバーミングとは、遺体の消毒・防腐・修復などの処置のことを指しますが、エンバーミングは遺体の損傷が激しいなど、特別な事情がある場合以外は不要です。

ほかにも、出棺用の花も不要なケースが多いですね。
供花祭壇の花を切って棺の中に入れることで、花束は省略できるからです。

こういったことを知っておくのと知らないのとでは、見積もり金額に天と地の差があります。

葬儀社の担当者と話すときにもっとも大切なのは、複数の視点を持つことです。

喪主の視点、参列者の視点、そして葬儀社の担当者の視点です。

やはり葬儀社の担当者は営業が目的ですから、会社寄りの提案をします。
それはある意味で仕方のないことかもしれません。

ですから、私たち利用者は、少しでも専門家の視点を持ち、その目で見積書をみることが重要なんです。

とはいえ、忙しいなかで事前に調べないといけないのは大変ですよね。
どうしてもいろいろと抜け落ちてしまうと思います。

そこで今回は、葬儀や終活に関するポータルサイト『ゆたかに』の編集者と監修者が総力を挙げて、これだけ読めば葬儀を妥当な金額におさめることができると思われるノウハウを公開しました。

監修者は、葬儀社に長年勤めてきたベテラン社員4人。

葬儀費用をおさえるにはどうすればいいのか?相場はいくらなのか?
本音の部分を突っ込んで聞いています。

葬儀費用の相場や、費用の節約方法、安く葬儀を行うための方法などについて、「ここまで書いて大丈夫か?」と思えるほどにユーザー目線でお届けしているつもりです。

大切なご家族のお葬式が、モヤモヤした金額で終わることのないように、葬儀費用の実態をしっかり知りましょう!

それではここから本編です!

編集者
  • 木村 澪子

    木村 澪子

    テレビ、ネットメディアの取材歴15年。インタビュー取材を通して「家計に無理のない選択とは何か?」を追求し、主婦目線で情報をお届けすることをモットーにしております。両親の終活、姑の介護が現在進行中。家族は夫・娘・カブトムシの幼虫。

今回の記事制作ご協力いただいた方々
  • 影山 理恵さん

    終活アドバイザー 影山 理恵さん

    仏事業界歴20年。葬儀・お墓・仏壇・返礼品などを取り扱う仏事の総合企業にて15年間勤務後、葬儀・お墓・仏壇のポータルサイトを営むエンディング業界の大手上場企業にて勤務していました。現在はフリーの終活アドバイザーとして活動中です。

  • 田中 良子さん

    関西の葬儀社で働く田中 良子さん

    地元密着型の小さな葬儀社で事務方をしています。直接葬儀式に携わることはありませんが、葬儀の手配や請求書の作成などを行うため、葬儀の内情にはくわしいです。

  • 高橋 朱音さん

    中部の葬儀社で働く高橋 朱音さん

    葬儀社に10年以上勤務しており、現在は主に葬儀の事前相談を担当しております。これまでに、故人様のお迎えから葬儀の打ち合わせ、式進行、司会進行、納棺、トラブル対処などの経験もあります。

  • 小川 竜雲さん

    関東の葬儀社で働く葬祭ディレクター 小川 竜雲さん

    約20年間 葬祭業に関わっており、葬祭ディレクター技能審査1級を持っています。大手互助会系の葬儀社勤務を経て、現在は神奈川県を中心に展開する葬儀社の管理者をしています。葬儀の事前相談・遺体搬送・打ち合わせ・司会進行など、お葬式に関する知識や経験はそれなりにあるつもりです。終活系の記事も多数執筆しております。

監修者
  • 青山 ななさん

    北陸の葬儀社で働いていた 青山 ななさん

    葬儀社で葬儀の営業、打ち合わせ、進行アシスタント、司会進行などを担当。現在はライターとして活動中です。

  • 猪俣 紫蘭さん

    日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん

    日蓮宗寺院の副住職として、葬儀などの仏事や人生相談を行っています。また、ライターとしても活動しており、仏事・マナー・歴史などについての記事も執筆しています。

  • 富永 ゆかりさん

    首都圏で葬儀社を経営している終活アドバイザー 富永 ゆかりさん

    首都圏にある自営の葬儀社・仏具販売店に嫁いで4年。葬儀の受付、事務処理、仏具販売等を中心に担当しております。最近は終活関連のライターとしても活動中です。

にゃんきち

司会進行は、『ゆたかに』のメインキャラクターである僕ことにゃんきちが務めさせていただきます!

みなさん、よろしくお願いいたします!

葬儀費用のムダを省く!カンタンに数十万円節約できちゃう方法

にゃんきち

公益財団法人、生命保険文化センター調査によると、葬儀費用の全国平均は196万円(※1)にものぼるそうです。

平均で200万円弱って、高すぎますよね・・・!

ズバリ、費用をおさえるにはどうすればいいのでしょうか?

北陸の葬儀社で働いていた青山さん

北陸の葬儀社で働いていた青山さん

まずは、できるだけ余裕のあるときに調査・比較・検討をしておくことです。

実際に身近な方が亡くなってしまったら、そんな悠長なことはいってられませんからね。

余裕があるうちに葬儀社や葬儀内容を決めておけば、いざ必要になったときにもスムーズに行動できますよ。

また、「葬儀社のいうとおりにしたら費用が高額になってしまった・・・」なんていうことにもなりません。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

「どの葬儀社にお願いするか」「どんな内容の葬儀にするか」が大事です。

にゃんきち

にゃるほど・・・。余裕をもって行動することが大事なんですね。

また、依頼する葬儀社や葬儀の内容が肝心とのことですが、私たちのような素人からすると、なにをどうやって選べばいいのかわからないと思います・・・。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

わかりました。できるだけ噛み砕いて説明していきますね!

※1
データは以下より。
公益財団法人 生命保険文化センター「葬儀にかかる費用はどれくらい?」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/succession/2.html

必ず複数社で見積もりを取る

にゃんきち

まず、葬儀社はどのように探せばいいですか?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

一番手軽なのは【インターネットで検索する方法】です。

たとえば、「世田谷区(自治体名)葬儀」などのキーワードで検索して、出てくる葬儀社のページをチェックしてみてください。

また、古典的ですが、タウンページなどの電話帳で探す方法もあります。

にゃんきち

ふむふむ。
では、次に葬儀社を探すときのポイントを教えてください。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

亡くなった場所が葬儀社と離れている場合、距離によっては移動料金を取られることがあるので、遠くの業者は避けたほうがいいでしょう。

終活アドバイザー 影山さん

終活アドバイザー 影山さん

近くに競合が多い中小の葬儀社は価格が下がりやすい傾向にあります。

自社の式場(※2)を持っていないと、なおいいですね。

にゃんきち

にゃるほど。
比較的近めで、まわりに競合が多い中小の葬儀社がいいんですね。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

はい。
でも、最初から1社にはしぼらないでください。

必ず3社以上で見積もりを依頼して比較してくださいね。

にゃんきち

たしかに。
複数社を比較したほうがよりいい業者を選べますものね。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

また、見積もりを依頼するときは、できるだけ具体的な条件を指定しましょう。

できれば、希望の葬儀プラン、予算、居住地や入院している病院名、宗教宗派、参列者数(親族・一般参列者)あたりは指定したほうがいいと思います。

細かい条件を指定するほど、見積もりの精度も上がりますよ。

にゃんきち

にゃるほど。
そのほうが比較しやすくなりますね。

※2
お通夜や告別式を行う式場です。

良心的な葬儀社の特徴

にゃんきち

では、葬儀社からの見積もりを比較するときは、どんな点に注目すればいいのでしょうか?

価格が良心的な葬儀社の特徴や見分け方を教えてください!

  • 内訳と金額がしっかり記載されている
  • 追加で発生する可能性のある費用について、内訳と金額がしっかり記載されている
  • 見積もりは、予算・参列者数・プランなどに応じて何パターンか提示している
  • ホームページやパンフレットに、実際に使われる祭壇・棺・料理などの写真が載っている(※3)
にゃんきち

にゃるほど。
「なににいくらかかるのか」を細かく教えてくれるところがいいんですね。

関西の中小の葬儀社に勤める 田中さん

そうですね。
内訳や細かい金額の提示がない業者はオススメできません。

※3
ホームページやパンフレットの写真をみるときは、その写真が「オプション込みのものになっていないか」を確認するようにしてください。たとえば、パンフレットに豪華な花祭壇の写真が載っていたのに、よく見たら「花はオプション(追加料金)です」なんて書かれていることも少なくありません。

費用は『火葬式<一日葬<家族葬』の順に高くなる

にゃんきち

葬儀費用は、葬儀のプランによっても変わりますよね?

最近はどんなプランが人気なんですか?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

そうですね。
参列者を親族や親しい方に限定するなら、家族葬一日葬火葬式のうちいずれかとなります。

それぞれ内容も異なりますし、価格帯にも差がありますよ。

にゃんきち

にゃるほど。
それぞれどんなちがいがあるのでしょうか。

わかりづらいので、ちがいを図にまとめてみました。

葬儀のプランのちがい

葬儀業界20年のベテラン小川さん

費用は、『火葬式<一日葬<家族葬』の順に高くなります。

にゃんきち

ふむふむ。
『ほぼ火葬のみの火葬式<告別式は行う一日葬<お通夜・告別式を両方やる家族葬』

この順に費用が高くなるということですね。

とにかく費用をおさえたい場合は火葬式にするしかありませんか?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

そうですね。
事実、火葬式を選ぶ方は年々増えているんですよ。

私の勤めている葬儀社ですと、昨年の利用者のうちおよそ半分が火葬式でしたからね。

にゃんきち

にゃんと!それは意外ですね。

セットプランの金額だけで済むことはない

にゃんきち

実際に見積もりを取ってみてわかったのですが、ホームページに載っている金額と、見積もりの金額には開きがありますよね?

たとえば、ホームページには『家族葬プラン45万円』と説明があったのに、見積もりを取り寄せてみたら『計80万円』と記載されていたケースがありました。

これはなぜでしょう?

【ホームページに載っている金額の例】

ホームページに載っている金額の例

葬儀業界20年のベテラン小川さん

実は、セットプランには必要最低限のものしか含まれてないんです・・・。

ですから、セットプランだけで済むことは少なく、追加費用を必要とすることが多いんですよね(※4)

たとえば、以下のような追加費用が必要です。

 
  • 遺体の搬送・・・搬送距離によっては追加料金がかかる
  • 遺体の安置・・・安置期間によっては追加料金がかかる
  • 遺体の腐敗を防ぐドライアイス・・・安置期間によっては追加料金がかかる
  • 式場利用・式場控室利用
  • 火葬場利用・火葬場待合室利用
  • 祭壇・棺・骨壺など・・・グレードアップする場合は追加料金がかかる
  • 葬儀会場を飾る供花(※5)
  • 故人の遺体をきれいにする湯灌(※6)
  • 参列者をもてなす通夜ぶるまい・精進落とし(※7)
  • 参列者にわたす香典返し・会葬御礼品(※8)
  • 参列者を式場火葬場に送迎するマイクロバス
にゃんきち

にゃんと!
セットプランの金額と実際に葬儀社に支払う費用にはだいぶ差があるんですね。

ということで、それぞれいくらぐらいかかるのか葬儀社の相場を調べてみました!

セットプランの金額と実際に葬儀社に支払う費用の差

にゃんきち

やはり、セットプランだけで済むことはなく、追加費用がけっこう大きいんですね・・・。

※4
高額なセットプランだと、一通り必要なものが含まれているケースもあります。

※5
供花とは、お通夜・告別式の会場を飾る花のことです。喪主・親族・その他参列者など、希望すればだれでも贈ることができます。

※6
湯灌は、遺体を洗い清めたり(拭くだけの場合もある)、着替えさせたり、ひげそりやメイクを施すサービスです。葬儀社によって細かい内容は異なります。

※7
いずれも参列者に食事や飲み物をふるまう宴席のことです。通夜ぶるまいは通夜後、精進落としは火葬中か火葬後に行われます。

※8
香典返しは、香典をいただいた方に渡すお礼の品です(最近は、葬儀当日に渡してしまう即日返しが主流です)。また、会葬御礼品は、参列者全員に渡すちょっとしたお礼の品です。

ここまで削れる!費用を節約できる項目と具体的な節約方法

にゃんきち

さきほど、「セットプランには不要なオプションが追加されるから金額が高くなってしまう」とお話がありましたが、オプションを減らすためにはどうすればいいのでしょうか?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

ポイントは、【グレードアップをしない】【葬儀に必須ではないものは削る】【必要なものも工夫して節約する】の三点です。

にゃんきち

にゃるほど。
ではここから、項目ごとの費用節約ポイントについてくわしく聞いていきたいと思います!(仏式で家族葬を行う前提)

グレードアップやランクアップはしない

葬儀業界20年のベテラン小川さん

祭壇・棺・骨壷・遺影・霊柩車などは、一番安いものを選ぶ(追加料金が発生するものは選ばない)ようにしましょう。

当然ですが、グレードアップすればするほど、費用がかさんでいきますから。

項目 費用をおさえるポイント
祭壇

画像引用元:イオンのお葬式
https://www.aeonlife.jp/expense/option/articles/standard/
一番安いものを選ぶ
(追加料金が発生するものは選ばない)


画像引用元:Amazon
https://amzn.to/332lhOZ
骨壷

画像引用元:山口県宇部市の葬儀場 安穏会館
https://an-non.jp/plan/plan-family/plan-family-nagomi/
遺影
遺影
寝台車・霊柩車
寝台車・霊柩車

遺体の安置日数・移動距離を減らす

終活アドバイザー 影山さん

終活アドバイザー 影山さん

遺体を自宅ではなく葬儀社や式場に安置する場合、安置の日数によっては追加料金が発生します。

また、遺体の搬送も、距離によっては追加料金が発生するので注意が必要です。

項目 追加料金の例 費用をおさえるポイント
遺体の搬送(亡くなった場所安置場所式場火葬場)
遺体の搬送車
10kmごとに1.5万~3万円
(それぞれ、10kmまでの移動はセットプランに含まれることが多い)
  • 昼間に搬送する(22時~朝の時間帯は料金が高くなる)
  • 移動距離が少なくなるようにそれぞれ近い場所を選ぶ
  • 遺体を式場の安置所に安置する
  • 火葬場併設の式場を選ぶ
遺体の安置
遺体の安置所
画像引用元:大阪市立北斎場葬儀手続き24時間市民相談窓口
http://bit.ly/2K87Vcl
1泊2,000~1万円 自宅に安置する
ドライアイス
ドライアイス
1日分で5,000~1万円
(1日~2日分はセットプランに含まれることが多い)
できるだけ早く葬儀ができる式場・火葬場を選ぶ
マイクロバス(参列者を式場火葬場に送迎する)
マイクロバス
10km以内で3万5,000円
  • 火葬場併設の式場を利用する
  • 火葬場と近い式場を選ぶ
  • 注文しない(参列者が少人数ならタクシーや自家用車を利用する)

公営で住民料金が適用される式場・火葬場を選ぶ

葬儀業界20年のベテラン小川さん

式場や火葬場は、基本的に公営のほうが費用をおさえられるので、民営より公営を選ぶようにしましょう。

また、公営の場合、指定地域内に故人や喪主の住民票があれば、住民料金を適用されることが多いです。

費用をおさえたいなら、公営で住民料金が適用される式場・火葬場を選ぶようにしましょう。

項目 追加料金の例 費用をおさえるポイント
式場利用
葬儀式場
10~30名規模で5万~10万円
  • 公営で住民料金が適用される式場を選ぶ
  • 自宅でお通夜や告別式を行う
  • 公民館でお通夜や告別式を行う
  • 参列者の人数を正確に見積もり、必要最低限の広さの式場を利用する
火葬
火葬場
画像引用元:臨海斎場
https://www.rinkai-saijou.info/p3.html
数千~数万円 公営で住民料金が適用される火葬場を選ぶ

葬儀業界20年のベテラン小川さん

勘のいい方はおわかりかもしれませんが、遺体の搬送・遺体の安置・ドライアイス・式場利用・火葬の料金については、トータルで考える必要があります。

たとえば、下記のような2つの式場がある場合、「どちらが安く済むのか?」はトータルの料金をみてみないとわかりませんよね。

  • A式場・・・近くて利用料金も安いが、混んでいて1週間待たなければならない(遺体の安置料金やドライアイス代がかさむ)
  • B式場・・・少し距離があり利用料金も高いが、明日にでも葬儀を執り行える

ですから、ひとつの要素だけで決めないようにしてくださいね。

遺族のほうで準備できるものは葬儀社に注文しない

葬儀業界20年のベテラン小川さん

これもなんとなく想像できると思いますが、自分たちで準備できるものは葬儀社に注文しないほうが費用をおさえられます。

もし、持ち込みを断られそうになったら、「知り合いの業者に注文する約束をしてしまった」「故人の思い出の品を使用したい」などと言い訳して乗り切ってください。

項目 追加料金の例 費用をおさえるポイント
仏衣一式(死装束)
仏衣一式(死装束)
画像引用元:Amazon
https://amzn.to/2O2E9Ha
5,000~1万円 注文しない(故人の洋服や着物を持ち込んで着せる)
枕飾り一式(遺体の側に置く仏式の道具一式)
枕飾り一式
1万~3万円 注文しない(自宅にある場合は、それを持ち込んで使用する)
運営スタッフ
葬儀運営スタッフ
1人1日あたり5,000~2万円
(必要最低限の運営スタッフはセットプランに含まれることが多い)
注文しない(遺族が担当する)
司会進行スタッフ
司会進行
1日あたり5,000~2万円 注文しない(遺族が担当する)
湯灌(遺体をきれいにしたり着替えさせたりするサービス)
湯灌
3万~10万円 注文しない(遺族が簡単なメイクや整髪だけ行う)
供花(お通夜・告別式の会場を飾る花)
供花
1万~2万円
  • 注文しない(生花店に直接注文する)
  • 親族にお願いして出してもらう
お供えのくだもの
お供えのくだもの
1万円 注文しない(スーパーや八百屋などで購入して持参する)
供養膳(お供えの料理)
供養膳
無料サービス~3,000円 注文しない(スーパー等で購入した総菜や白飯を盛りつける)

料理・返礼品の費用を節約するポイント

首都圏で葬儀社を経営する富永さん

首都圏で葬儀社を経営する富永さん

料理や返礼品の費用もやり方次第で節約できます。

ただ、参列者を極端に減らした場合や香典を断った場合は、かえって費用負担が大きくなる可能性もありますので、ご注意ください。

項目 追加料金の例 費用をおさえるポイント
通夜振る舞い(通夜後の宴席)・精進落とし(火葬中・火葬後の宴席)の料理
通夜振る舞い等の料理
1人分3,000円
(飲み物代は別)
  • 参加者の人数を正確に把握し、無駄な注文は避ける
  • アルコールを出さない(参列者には事前に伝えておく)
  • 注文しない(自分でお弁当を注文するか、近隣の飲食店を利用する)
  • 通夜ぶるまいは省略する(参列者には事前に伝えておく)
配膳スタッフ
配膳スタッフ
飲食代の10%程度 注文しない(立食形式にするか、遺族に手伝ってもらう)
香典返し(香典をくれた方に渡すお返し)

画像引用元:シャディ
https://shaddy.jp/gs_front/shouhin/192713028/
1つ2,000~3,000円
  • 価格が低めのものを選ぶ
  • 注文しない(香典を辞退するか、自分で低価格なものを探して購入しておく)
会葬御礼品(参列者全員にわたすお礼)

画像引用元:楽天市場
https://item.rakuten.co.jp/okaeshi/k-hk/?iasid=07rpp_10095___e3-k2e906c5-9xl-a17b2c3a-9846-471e-ad30-7bd629669e5f
1つ500~1,000円
  • 価格が低めのものを選ぶ
  • 注文しない(自分で低価格なものを探して購入しておく)

不要なものを断る

関西の中小の葬儀社に勤める 田中さん

葬儀社によっては、不要なものでも「絶対あったほうがいい!」と強く勧めてくることがあります。

たとえば、私の知っている葬儀社ではエンバーミング(※9)を強く勧めているのですが、日本でエンバーミングが必要なケースはほとんどありません・・・。

「いらない」と思ったら、流されずに断るようにしましょう。

項目 追加料金の例 費用をおさえるポイント
エンバーミング(遺体の消毒・防腐・修復などの処置)
エンバーミング
20万円 注文しない(遺体の損傷が激しいなど、特別な事情がある場合以外は不要)
出棺用の花(棺の中に入れる花や棺に乗せる花束)
出棺用の花
5,000~2万円 注文しない(供花や祭壇の花を切って棺の中に入れ、花束は省略する)
式場入口の看板
式場入口の看板
2万~3万円 注文しない(小規模な葬儀なら不要)
道案内看板
道案内看板
画像引用元:竹原葬祭
https://www.takeharasousai.com/service/item/sign/index.html
1枚5,000円 注文しない(小規模な葬儀なら不要)
にゃんきち

にゃるほど。
費用を節約するポイントってこんなにたくさんあったんですね。

とても勉強になりました!

※9
エンバーミングでは、遺体の消毒・洗浄・体液の吸引・防腐剤の注入・損傷部分の修復・ひげそり・メイク・着替えなどの処置を行います。処置した遺体は、10日から2週間程度保存可能です。ただし、エンバーミングが必要なケースは限られます。「事故や病気で遺体が激しく傷ついてしまった」など、特別な事情があるケース以外は不要でしょう。

営業に負けない!不要なものはキッパリ断ろう!

にゃんきち

さきほど、「いらないもの(もしくは自分たちでまかなえるもの)は注文しない」という話がありましたが、葬儀社の営業って巧みそうですよね・・・。

どんなセールストークで営業をするのかを教えてもらえますか?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

そうですね。
たとえば、こんなことをいってくる担当者は多いと思いますよ。

  • 華やかなほうが故人さまもお喜びになられると思います。
  • みなさん、このぐらいのグレードのものをご注文になりますね。
  • あまり簡素にされると、ご親族さまからお小言を頂戴することもありますので。
にゃんきち

にゃるほど。
たしかにこういわれたら流されてしまいそうですね。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

そうですよね。
でも、いらないものはハッキリ断るようにしてください。

流されたり見栄を張ったりしてしまうと、請求書をみて後悔することになりますよ。

にゃんきち

うぅ・・・、たしかに・・・。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

残念がら、良心的でない担当者もいます・・・。

「しつこくオプションを勧めてくる」「中~高価格帯のプランしか紹介しない」など、信用をおけない担当者と思ったら、すぐに担当を代えてもらいましょう。

にゃんきち

ふむふむ。
勉強になります!

お坊さんへ支払うお布施も節約できる

にゃんきち

ここまで、主に『葬儀社に支払う費用』についてうかがってきましたが、葬儀にかかる費用はほかにもありますよね。

たとえば、お坊さんへの謝礼はいくらぐらいになるのでしょう?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

そうなんですよ。
仏式で葬儀をする場合、お坊さんへのお布施が別途必要です。

にゃんきち

にゃるほど。
では、お布施ってだいたいおいくら万円なんですか?

全国のお布施(読経料・戒名料・お車代などの総額)の平均額について、地域ごとに調べてみました(※10)

全国のお布施(読経料・戒名料・お車代などの総額)の平均額

エリア お布施の平均額
北海道 33万円
東北 60万円
関東(千葉・群馬・茨城・栃木) 54万円
関東(東京・神奈川・埼玉) 50万円
中部(新潟・富山・石川・福井) 42万円
中部(愛知・静岡・岐阜・長野・山梨) 65万円
近畿 46万円
中国 42万円
四国 39万円
九州 29万円
全国平均 47万円
にゃんきち

こうみると、地域によってだいぶ差があるんですね。

北陸の葬儀社で働いていた青山さん

北陸の葬儀社で働いていた青山さん

実際は、地域だけでなく、宗派やお寺によってもかなりバラツキがありますよ。

にゃんきち

にゃるほど。
上の結果はあくまでも平均額ということですね。

いずれにしても、お布施で数十万円以上かかるのは辛いはずですから、ここからはお布施を節約する方法についてみなさんに聞いていきたいと思います!

※10
日本消費者協会「第11回 葬儀に関するアンケート(2016年)調査報告書」より

菩提寺がある場合はまずお寺に相談すること

にゃんきち

まず、菩提寺(ぼだいじ)(※11)がある場合はどうでしょうか。

直接お願いしてお布施の金額をおさえることはできませんかね?

首都圏で葬儀社を経営する富永さん

首都圏で葬儀社を経営する富永さん

可能性はありますから、まずはお寺に相談してみてください。

また、戒名(※12)のランクを下げるという手もあります。

通常、お布施には戒名代が含まれているのですが、戒名にはランクがあり、高ランクになるほどお値段も上がります。

ですから、「戒名のランクを下げてほしい」とお願いしてみたらいかがでしょうか。

にゃんきち

ふむふむ。
相談次第なんですね。

※11
菩提寺とは、その家のお墓を管理しているお寺のことです。法事や葬儀の際は、菩提寺のお坊さんに読経などをお願いします。

※12
戒名とは、仏教における死後の名前のことです(位牌や墓石に刻まれます)。戒名は、通常お坊さんが命名します(菩提寺がある場合は菩提寺のお坊さんが命名)。

無宗教にすればお布施は不要だが・・・

にゃんきち

仏式ではなく、無宗教で葬儀をすることもできますよね。

この場合、お坊さんを呼ばずに済むのでお布施は不要になりますか?

終活アドバイザー 影山さん

終活アドバイザー 影山さん

はい。
その場合 お布施代は不要です。

しかし、問題もあります。

たとえば、菩提寺がある場合、お寺が納得しないと、そこのお墓に埋葬できない可能性もあります。

さらに、読経がなくなるので、親族や参列者からクレームが出る可能性もありますね。

この場合、音楽の生演奏を頼むなど、別の演出を検討しなければなりません。

にゃんきち

にゃるほど。
とくに菩提寺がある場合は注意が必要なんですね。

戒名なしにすると金額をおさえられる

にゃんきち

さきほど、「お布施には戒名代が含まれている」と話がありましたが、戒名をなしにすれば金額をおさえられますか?

終活アドバイザー 影山さん

終活アドバイザー 影山さん

はい。
宗教宗派にこだわらなければ戒名は不要です(※13)

ただ、こちらも問題がないわけではありません。

やはり菩提寺が納得しない可能性もありますし、親族から反対されるおそれもあります。

にゃんきち

ふむふむ。
親族が納得すれば問題ないわけですね。

※13
この場合、位牌やお墓には俗名(本人の名前)を彫刻できます。

低価格でお坊さんを呼べる『僧侶派遣サービス』を活用しよう

にゃんきち

巷では、僧侶派遣のサービスも話題になっていますよね。

低価格なので気になっている方も多いと思うのですが、こちらはどういったサービスなのでしょうか?

僧侶派遣サービス

葬儀業界20年のベテラン小川さん

僧侶派遣とは、その名の通りお坊さんを派遣してもらうサービスです。

菩提寺がない方や、菩提寺が遠方にある方向けのものですね。

相場より低価格ですし、事前にはっきり金額がわかるのは大きなメリットだと思います。

にゃんきち

にゃるほど。
いいサービスなんですね!

ちなみに、デメリットはないのでしょうか?

日蓮宗の尼僧 猪俣さん

日蓮宗の尼僧 猪俣さん

お寺のお坊さんではなく、僧侶の資格を持っているだけのマンション僧侶が派遣されることもありますが、だからといって問題はありません。

派遣は私も担当した経験がありますが、「安いから」「派遣だから」といって手抜きすることはありません。

ただし、当たり外れはあるのかもしれませんね・・・。

にゃんきち

ふむふむ。
検討してみる価値はありそうですね!

ではここで、主な僧侶派遣サービスについて調査してみようと思います!

結果は表にまとめましたので、参考にしてみてください。

全国対応可能な僧侶派遣サービス一覧

サービス名 連絡先 お布施(お車代含む) 戒名代
(一般的な戒名の場合)
火葬式
(火葬場での読経)
一日葬(告別式・火葬場での読経) 家族葬
(通夜・告別式・火葬場での読経)
お坊さん便 0120-541-609 3万5,000円 6万5,000円 14万円 2万円
お寺さん.jp 0120-764-940 宗派なし:3万5,000円宗派あり:4万5,000円 宗派なし:6万5,000円宗派あり:7万5,000円 宗派なし:9万5,000円宗派あり:10万5,000円 料金に含まれる
お坊さんの輪 0120-367-369 4万円 6万円 10万5,000円 料金に含まれる
てらくる 0120-968-091 6万円 9万円 18万円 料金に含まれる
お坊さん便 0120-541-609 3万5,000円 6万5,000円 14万円 2万円
はちす会 029-889-0210 応相談 応相談 12万円 5万円
お坊さん.jp 0120-624-629 応相談 6万5,000円 11万円 2万円
僧侶派遣ネット 050-3717-3079 5万円 8万円 応相談 5万円
おぼうさんどっとこむ 0120-056-594 宗派なし:4万円宗派あり:5万円 宗派なし:8万円宗派あり:13万円 宗派なし:10万円宗派あり:15万円 6万円
お坊さん派遣.com 0120-970-284 5万円 8万円 10万円 6万
イオン僧侶派遣(※14) 0120-635-014 4万5,000円 7万5,000円 15万円 料金に含まれる

※14
イオンの僧侶派遣サービスは、『イオンのお葬式』を利用した方のみ利用可能です。

とにかく費用をおさえたいならDIY葬や献体という手も・・・

にゃんきち

ここまで葬儀を葬儀社に依頼する前提でお話をうかがってきましたが、たとえば、葬儀社に依頼しない葬儀を執り行うこともできるのでしょうか?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

はい。できますね。
たとえば、手作り葬(DIY葬)献体がそうです。

にゃんきち

にゃるほど・・・!
それぞれくわしくみていきましょう!

自分ですべて行う手作り葬(DIY葬)

葬儀業界20年のベテラン小川さん

手作り葬(DIY葬)では、その名の通り、自分で遺体の処置・搬送・火葬など一連の流れを行うことになります。

にゃんきち

なんでもDIYの時代なんですね。

ここで手作り葬(DIY葬)について解説していきましょう。

手作り葬(DIY葬)
必要条件
  • 自宅で遺体や棺を保管できる(もしくは自宅以外に保管スペースを確保できる)
  • 棺(遺体)を運ぶ人手(男性2人以上)を確保できる
  • 遺体の最低限の処置を病院にお願いできる
  • 棺(遺体)を運ぶ寝台車を手配できる
  • 火葬場を確保できる(葬儀社を通さないと予約できない火葬場もある)
費用の目安 10万~20万円程度
準備するものと費用(例)
  • 遺体の最低限の処置(病院に依頼)・・・無料~3万円程度
  • 棺・骨壺・骨壺カバー・骨上げ箸・・・3万円程度
  • ドライアイス(1日分)・・・5,000円~1万円程度
  • 寝台車(病院から自宅、自宅から火葬場の距離がそれぞれ10km以内)・・・3万~4万円程度
  • 火葬料金・・・4万~6万1,000円(※15)
流れ 病院で遺体に最低限の処置をする(口・鼻・耳・肛門に詰め物をするなど)

遺体の搬送(※16)

遺体にドライアイスやオムツをあてる

火葬場の予約

役所へ死亡診断書・死亡届を提出し、火葬許可証(または埋葬許可証)を受取る

火葬当日、火葬場へ遺体を搬送して火葬
にゃんきち

すべて自分でやるから、費用をおさえられるということですね。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

はい。
でも、万人にオススメできる方法ではありません。

とくに遺体の扱いは注意が必要です。

病院で遺体の処置をしてもらったとしても、その後、「体液が漏れてきた」「体の表面が変色してきた」などの異変が起こる可能性があります。

そのとき、素人の方だと適切な処置ができませんからね。

また、必要なものをすべて自分で購入したり、手配したりしないといけませんから、正直かなり大変だと思います。

にゃんきち

にゃるほど。
たしかに素人がいきなりやるのはハードルが高そうですね・・・。

※15
都内の公営の火葬場で、住民料金が適用される前提の金額です。

※16
遺体は死亡から24時間経たないと火葬できないため、病院で亡くなった場合は、一旦、自宅等に安置する必要があります。マンションなど集合住宅の場合、遺体の安置を拒否されることもありますので、事前に確認が必要です。

献体すれば費用はかからない

葬儀業界20年のベテラン小川さん

献体とは、遺体を大学の医学部や医療機関の解剖実習に提供することです。

献体を希望する場合は、生前に献体募集中の大学や医療機関に登録しておく必要があります。

にゃんきち

日本の医療に貢献できるんですね。

ここで献体について基本的なことを調べてみました(今回は、獨協医科大学医学部の献体について調査してみました)。

獨協医科大学医学部の献体
利用資格
  • 本人が生前に献体登録をしている(亡くなってからの申込みは不可)
  • 指定エリア内(栃木県内もしくは隣県の一部)に住んでいる
  • 結核・B型肝炎・C型肝炎など、特定の病気にかかったことがない
  • 遺体に損傷がない(事故死した場合などは拒否される可能性あり)
  • 配偶者・親・子・兄弟姉妹などの血縁者全員が献体登録に同意している
  • アイバンク登録や臓器提供の申請をしていない
費用の目安 0円(遺族が別途葬儀や埋葬を行う場合は、別途費用が必要)
流れ 【生前】
大学へメールか電話で連絡し、条件の確認

大学から申請書が届いたら、本人が署名・押印する

家族全員同意のうえ献体の申請

大学側が申込みを受理し、献体登録証の発行・送付

【逝去後】
遺族が大学へ連絡し、引き取りの日時を相談

遺族が役所へ死亡診断書・死亡届を提出し、火葬許可証(または埋葬許可証)を受取る

大学の担当者が遺体を引取りに訪れる

遺族が解剖承諾書に署名・捺印し、遺体が搬送される

大学側で解剖・火葬・収骨を行う(遺骨の引渡しまで1年半~2年かかる)

無宗教で合同慰霊祭を実施(遺族や大学関係者が参列する)

学内の霊園に埋葬すれば、いつでも参拝可能(お彼岸には僧侶による供養がなされる)
申請先
  • 日本篤志献体協会(03-3345-8498
  • 獨協医科大学 献体事務室 獨協白菊会(0282-87-2111
にゃんきち

遺体の搬送・火葬・合同慰霊祭まですべて献体先におまかせということですね。

終活アドバイザー 影山さん

終活アドバイザー 影山さん

はい。
ただし、「遺体にメスが入る」「遺骨がもどるまで1~3年かかる」「火葬に立ち会うことができない(※17)」といったデメリットもありますので、抵抗のある方も多いと思います。

献体を希望する方は、生前に家族・親族とよく話し合い、同意を得てから登録するようにしましょう。

親族などの同意を得ないまま手続きを進めてしまうと、いざ献体するときに大きなもめごとに発展するおそれがありますよ。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

献体はあくまでも「医療に貢献するため」のものなので、「費用がかからないから」という動機だけで登録するのはオススメできません。

また、近年は献体希望者が多いため、献体の受付を休止しているところもあるみたいですよ。

にゃんきち

にゃるほど。
医療に貢献したい気持ちがあり、なおかつ家族・親族に納得してもらえる場合は、献体を選択肢に入れてもいいのかもしれませんね。

※17
遺体引き渡しの際に「火葬に立ち合いたい」と伝えておけば、火葬時の立ち合いが可能になることもあります。

故人もしくは喪主が生活保護を受給している場合は費用がかからない

葬儀業界20年のベテラン小川さん

余談ですが、故人か葬儀を行う方が生活保護を受けている場合は、生活保護から葬儀代が支給されます。

葬祭扶助と呼ばれる制度です。

にゃんきち

にゃるほど。
生活保護を受けている方でもきちんと葬儀を執り行えるんですね。

ここで生活保護の葬祭扶助について基本的なことを調べてみました(今回は、東京都のケースを調査してみました)。

東京都の生活保護の葬祭扶助
利用資格 故人もしくは葬儀を行う方が生活保護を受けている(※18)
支給される費用 20万6,000円以内
流れ 福祉事務所に死亡届を持参し、葬祭扶助の申請をする(※19)

申請が認められたら、指定の葬儀社に依頼(「葬祭扶助葬を行う」と伝える)

火葬式が行われる

福祉事務所から直接、葬儀社に支払い
申請先 生活保護を受けている自治体の福祉事務所
にゃんきち

この場合、実施できるのは火葬式のみでしょうか?

中部地方の葬儀社で働く高橋さん

はい。
簡素な火葬式しか実施できませんし、僧侶を呼ぶこともできません。

市区町村が定めた内容のみになってしまいます。

にゃんきち

にゃるほど。
「こういう葬儀にしたい」という希望はかなえてもらえないんですね・・・。

※18
故人が生活保護を受けていた場合でも、遺族に資産があれば扶助の対象外になってしまいます。

※19
できれば、亡くなる前に福祉事務所に相談し、流れややるべきことを確認しておいたほうがいいでしょう。

葬儀費用は誰が負担する?支払時の注意点

にゃんきち

ここまで、「いかに葬儀費用をおさえるか?」のお話をしてきましたが、そもそも葬儀費用ってだれが負担するケースが多いのでしょうか?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

香典でまかなえない分は、故人の預貯金から支払うか、喪主が支払うことが多いです。

その他、親族で分担したり、ローンか分割払いで支払ったりする方もいらっしゃいますよ。

香典でまかなえない分の支払い方法

にゃんきち

にゃるほど。
支払いに関して、なにか注意点はありますか?

首都圏で葬儀社を経営する富永さん

首都圏で葬儀社を経営する富永さん

参列希望者が多い場合は、多くの方をお呼びしたほうがかえって費用をおさえられることもあります(香典収入があるため)。

事前にシミュレーションをしたい場合は、お願いする葬儀社に相談してみてくださいね。

中部地方の葬儀社で働く高橋さん

故人の預金を引き出して使う場合は、銀行に亡くなったことを知られる前に引き出してください。

また、この場合、法定相続人(妻や子など遺産を相続する権利がある人)全員の許可が必要になります。

終活アドバイザー 影山さん

終活アドバイザー 影山さん

親族で支払いを分担する場合、「だれがいくら支払う」などの明確な基準はありません。

そのため、分担にについてもめごとになることもあります。

葬儀業界20年のベテラン小川さん

葬儀社によっては、信販会社と提携した葬儀ローンを組むことができます。金利の相場は7~10%です。

また、費用をどうしても払えない事情がある場合は、葬儀社が独自の分割払いに応じてくれることもあります。

いずれにせよ、対応は葬儀社ごとに異なるので、支払いが難しい場合は事前に葬儀社に相談しておいたほうがいいでしょう。

にゃんきち

ふむふむ。

参列者の交通費・宿泊費は負担しなくていい

にゃんきち

ちなみに、遠方からの参列者がいた場合、その交通費や宿泊費は、喪主が負担すべきなのでしょうか?

葬儀業界20年のベテラン小川さん

いいえ。
通常、喪主は交通費・宿泊費を負担する必要はありません。

ただ、どこにどのような施設があるのかわからない参列者のために、宿泊場所の手配は代行してあげたほうがいいでしょう。

にゃんきち

にゃるほど。
てっきり、結婚式と同様、「主催側が負担するもの」と思っていましたが、そうではないんですね!

まとめ

にゃんきち

最後に今回の内容について、ポイントをおさらいしていきましょう!

葬儀社に支払う費用の相場

  • 火葬式(直葬)・・・総額25~30万円
  • 一日葬・・・総額40~110万円
  • 家族葬・・・総額70~150万円

広告などの営業資料に書かれたセット金額は以下のものが含まれていないため、支払総額は高くなる

  • 遺体の搬送・・・搬送距離によっては追加料金がかかる
  • 遺体の安置・・・安置期間によっては追加料金がかかる
  • 遺体の腐敗を防ぐドライアイス・・・安置期間によっては追加料金がかかる
  • 式場利用・式場控室利用
  • 火葬場利用・火葬場待合室利用
  • 祭壇・棺・骨壺など・・・グレードアップする場合は追加料金がかかる
  • 葬儀会場を飾る供花(※)
  • 故人の遺体をきれいにする湯灌(※)
  • 参列者をもてなす通夜ぶるまい・精進落とし(※)
  • 参列者にわたす香典返し・会葬御礼品(※)
  • 参列者を式場火葬場に送迎するマイクロバス

葬儀社・葬儀内容を決める時のポイント

  • 余裕のある時に調査・比較・検討する
  • 亡くなった場所からなるべく半径10キロ以内にある葬儀社を選ぶ
  • 周辺に競合他社が多い、中小の葬儀社から選ぶ
  • 3社以上から見積もりを取る
  • 見積りは具体的な条件を指定する
    (希望の葬儀プラン、予算、居住地や入院している病院名、宗教宗派、参列者数)
  • 何タイプかの見積りを出してもらう(参列者の人数、予算に応じて数パターン)

良心的な葬儀社の見分けかた

  • 見積もりに含まれている項目の内訳と金額がきちんと記載している
  • 追加で発生する可能性のある費用について、内訳と金額がきちんと記載している
  • 見積もりは、予算・参列者数・プランなどに応じて何パターンか提示している
  • ホームページやパンフレットに、実際に使われる祭壇・棺・料理などの写真が載っている

葬儀内容を安くおさえるポイント

  • グレードアップをすすめられても断る(祭壇・棺・骨壺・遺影・霊柩車)
  • 遺体の安置日数・移動距離を減らし、葬儀会場や火葬場は住民料金が適応される公営を選ぶ
    そのうえで、遺体の搬送・遺体の安置・ドライアイス・式場利用・火葬は総額で比較
    • 遺体の搬送距離の節約方法
      • 昼間に搬送する(22時~朝の時間帯は料金が高くなる)
      • 移動距離が少なくなるようそれぞれ近い場所を選ぶ
      • 遺体を式場の安置所に安置する
      • 火葬場併設の式場を選ぶ
    • 式場費用の節約方法
      • 公営で住民料金が適用される式場を選ぶ
      • 自宅でお通夜や告別式を行う
      • 公民館でお通夜や告別式を行う
      • 参列者の人数を正確に見積もり、必要最低限の広さの式場を利用する
    • マイクロバス(参列者を式場火葬場に送迎する)費用の節約方法
      • 火葬場併設の式場を利用する
      • 火葬場と近い式場を選ぶ
      • 注文しない(参列者が少人数ならタクシーや自家用車を利用する)
  • 葬儀社に頼まずに自前で持ち込むか、家族でまかなう
    (死装束、枕飾り一式、お供えの果実、式場スタッフ、司会者、供花、供養膳、湯灌)
  • 不要なものはきっぱりと断る
    • エンバーミングは遺体の損傷が激しいなど、特別な事情がある場合以外は不要
    • 式場入り口の看板や道案内の看板は小規模な葬儀は不要
  • 通夜振る舞い、精進落としの費用の節約方法
    • 参加者の人数を正確に把握し、無駄な注文は避ける
    • アルコールを出さない(参列者には事前に伝えておく)
    • 注文しない(自分でお弁当を注文するか、近隣の飲食店を利用する)
    • 通夜ぶるまいは省略する(参列者には事前に伝えておく)
  • 香典返しや会葬御礼品の費用の抑えかた
    • 価格が低めのものを選ぶ
    • 注文しない(香典を辞退するか、自分で低価格なものを探して購入しておく)

お坊さんに支払うお布施をおさえるには

  • 菩提寺にお布施の減額をお願いする(戒名のランクを下げる)
  • 無宗教でお葬式をする
  • 戒名を省略する
  • 僧侶派遣を利用する

どうしてもお金がない人のためのお葬式

  • 手作り葬(DIY葬)・・・10万円~20万円程度。総額葬儀社に頼らずに火葬式を行う。遺体の扱いや運搬が素人には難しい
  • 献体・・・葬儀をしなければ0円。医学部の解剖実習に献体した人は大学主催の合同慰霊祭が執り行われる
  • 生活保護の葬祭扶助・・・生活保護を受給している故人か葬儀をする人が対象。簡素な火葬式しか行えない
にゃんきち

今回ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!

昔は故人のために盛大なお葬式を挙げることが、遺族のつとめでしたよね。

でも時代は変って、こじんまりと、しめやかに行うお葬式が主流になっているんですね。

お金をかけなくても、心を込めたお葬式ならば、亡くなった人も満足してくれるはず。

参列者や家族に「いいお葬式だったね」と言ってもらえるような弔いができますように・・・。

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