「親族同士でもめずに、できるだけ安く仏壇・位牌・遺影などを処分したいのですが、どのように処分すればいいでしょうか?わかる方教えてください!」
「仏壇やご本尊はどのように処分したらいいのでしょうか?お寺に納めると聞いたこともありますが、その場合どのお寺でもいいのでしょうか?」
「これから仏壇を焼却場へ持っていく予定です。すでにお寺で供養をしてもらいましたが、ほかに気をつけることはあるでしょうか?」
お家の取り壊し、引っ越し、リフォームなどがきっかけで、仏壇を置くスペースが確保できなくなり、やむを得ず仏壇の処分を検討する方は多いと思います。
しかし、仏壇はタンスやイスとちがって『ただの家具』ではありません。
粗大ゴミとして捨てるのは抵抗がある方も多いのではないでしょうか。
本来、仏壇には故人の魂が宿っていると考えられていて、処分前にその魂を抜く必要があります。
これを閉眼供養や魂抜きといいますが、仏壇の処分なんて一生に一度あるかないかですから、具体的にどういう手順を踏めばいいかよくわかりませんよね。
どこにお願いすればいいのかわからないし、いくらかかるのかもよくわからない・・・。
私がはじめて仏壇を処分するときは、こんなふうに思っていました。
もしかすると、あなたも同じようなお悩みを抱えているのではないでしょうか?
というわけで、こんにちは。
終活ポータルサイト『ゆたかに』の管理人、木村です。
私のような仏事を親世代に任せてきたぬるま湯アラフォーにとって、仏壇の処分なんて、本当にチンプンカンプンで、そもそもなにから手をつければいいのかもよくわかりません。
でも、仏壇処分の期限は刻一刻と迫ってくる・・・。
もう「キッ~!」となって、頭をかき乱したくなりますよね。
そんな仏事素人である私がこの記事を執筆することになったからには、たとえどんなド素人でも一から十まで理解できるようにする必要があると思い、今回は筆を執っています。
私のように無知で面倒くさがりでも安心して仏壇を処分できるようにはどうすればいいのかを具体的に説明したつもりです。
仏壇の処分をする前に悩むのは、おもに以下のようなことではないでしょうか。
- そもそも仏壇処分の前には供養が必要なのか?
- 仏壇処分方法(種類ごと)のメリット・デメリット・費用
- 仏壇処分業者の探し方と選ぶときのチェックポイント
そもそも、私のような一般人にとって、「どんな処分方法があるのか」「費用はどのくらいかかるのか」もわからなければ、「どこでどうやって業者を探せばいいか」「どうやって業者を選べばいいか」もわからないのが普通です。
でも、「間違った方法で処分してしまって、もしバチでもあたったら・・・」
そう思うとやっぱり怖いものです。
そこで、今回は仏壇販売員・僧侶・終活アドバイザー・葬祭ディレクターなどの専門家のみなさんに素人目線で徹底した取材を行いました。
この記事は読むだけで、だれでも正しいやり方で仏壇を処分できるようになるように書きましたので、必ずお役に立てるはずです。
また、私たちゆたかに編集部では、中立・客観的なノウハウ・情報をお伝えすることをモットーにしています。
ですから、特定の業者をオススメしたり、なにかに偏った内容にしたりすることはしていませんので、ぜひ教科書的にお使いいただければと思います!
それでは、ちょっと長い文章ですが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
- 編集者
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木村 澪子
テレビ、ネットメディアの取材歴15年。インタビュー取材を通して「家計に無理のない選択とは何か?」を追求し、主婦目線で情報をお届けすることをモットーにしております。両親の終活、姑の介護が現在進行中。家族は夫・娘・カブトムシの幼虫。
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- 今回の記事制作にご協力いただいた方々
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葬儀社の経営者 大作 健さん
都内老舗葬儀社に20歳よりアルバイトとして勤務。その後、正社員となり葬儀のイロハを学ぶ。5年間在籍後葬儀専門の人材派遣会社を設立。同会社を後身に託し都内に葬儀社を設立。業界30年のキャリアを生かし葬儀の営業のみならず、終活全般をサポート。本業のかたわら葬儀や終活のライターとして活躍しています。
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元仏事業界 真田 孝之さん
仏事業界歴は3年。葬儀・葬儀後のアフターフォロー・仏壇・墓石・返礼品などを扱う某大手企業に3年間従事し、おおよそ3,000人以上のフォローに携わったのち、独自でコンテンツ配信を開始。現在は仏事に悩む方々へ向けて悩み・願望を満たすコンテンツを作成する企業のオウンドメディア作成に携わる。
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葬儀社を経営している終活アドバイザー 富永 ゆかりさん
首都圏にある自営の葬儀社・仏具販売店に嫁いで4年。葬儀の受付、事務処理、仏具販売等を中心に担当しております。最近は終活関連のライターとしても活動中です。
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日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
日蓮宗寺院の副住職として、葬儀などの仏事や人生相談を行っています。また、ライターとしても活動しており、仏事・マナー・歴史などについての記事も執筆しています。
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仏壇店店員 安林 佳幸さん
大手仏壇店で8年間勤務しています。主に葬儀・葬祭・仏事・法要に関するアドバイス及び接客を通じ、お客様の生の声をお聞きしています。また、仕事柄お寺のご住職とも親交が厚く、仏事に関する知識も豊富にあります。
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仏壇と墓石の販売員 三原 幸子さん
12年間、仏壇と暮石の販売員をしております。
お客様が満足できるご供養ができるように、ご家族や住宅事情などを考えながら提案をさせていただいています。
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仏教系大学の教員・僧侶 釋 じょうほうさん
僧侶として25年の活動歴があり、これまで1,000名以上の方々のお葬式を導師としてお勤めしてまいりました。現在は、仏教系大学の教員として教育・研究に携わりつつ、宗派内外の各種研修会・講演会などの講師やライターとしても活動しています。
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葬儀社に勤務中の葬祭ディレクター 太田 淳さん
以前は都内の葬儀社で8年間ほど勤務しており、現在は千葉県の葬儀社で勤務しております。主に葬儀の打ち合わせ、施行の担当だけでなく、仏壇販売・葬儀後の返礼品・手元供養・墓石などの供養関係の仕事にも従事しており、また、葬儀学習会での講師も務めております。厚生労働省認定の1級葬祭ディレクターも取得しております。
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司会進行は、『ゆたかに』のメインキャラクターである僕ことにゃんきちが務めさせていただきます!
みなさん、よろしくお願いいたします!
- 目次
- 仏壇供養が必要な理由から費用の相場まで専門家が解説
- 仏壇処分の前にやっておきたい2つのこと
- 仏壇の処分方法のメリット・デメリット・費用を専門家が解説
- 仏壇処分業者の探し方と選定のポイントを専門家に聞いてみた
- 仏壇処分のみんなが気になる質問に専門家が回答!
- まとめ
仏壇供養が必要な理由から費用の相場まで専門家が解説
仏壇を手放さなくてはならない状況になったら、まずなにをすべきなのでしょうか。
「とりあえず粗大ゴミで捨てればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、仏壇はただの家具ではありませんよね。
処分する前に、きちんと供養する必要があります。
ここでは、供養が必要な理由から、供養の対象となるもの、供養の費用について専門家のみなさんにお話を聞いていきたいと思います!
仏壇処分の前に供養が必要なワケ
仏壇処分の前に行う供養のことを、閉眼供養や魂抜きといいますよね(※1)。
これらはお坊さんが仏壇前でお経を読むイメージがありますが、どんな意味があるのかわかりません。
閉眼供養の意味を教えてください。
仏教系大学の教員・僧侶 釋じょうほうさん
仏壇には故人の魂が宿っていると考えられていますので、その魂を抜くために行います。
閉眼供養後は、仏壇の処分が可能です。
にゃるほど。
どの宗派でも閉眼供養が必要ですか?
仏教系大学の教員・僧侶 釋じょうほうさん
はい。
ただ、浄土真宗の場合は閉眼供養とは呼びません。
遷仏法要といいまして、閉眼供養とは意味合いもちがいます。
浄土真宗の場合、仏壇は故人の魂がとどまる場所ではありません。
仏壇は、『仏様を安置し、故人を偲びつつ仏様に手を合わせる場所(※2)』なのです。
したがって、遷仏法要は故人の魂を抜くためではなく、仏様に『仏壇の移動や処分を報告し、敬意を示すため』に行われます。
にゃるほど。
仏壇の前でお経を読む行為は同じでも、浄土真宗の場合は意味合いが異なるんですね。
※1
お性根抜きや御霊抜きと呼ばれることもあります。
※2
ここでいう仏様とは、『すべての者を極楽浄土へ導く仏様(阿弥陀如来)』を指します。そして、故人の魂は『仏様がいる浄土にいる』と考えられています。仏様に手を合わせることで、故人がいる浄土に思いをはせる、というわけです。
供養しなければならないのは本尊と位牌のみ
仏壇を供養する場合、仏壇本体や置いてあるものすべてを供養しなければならないんでしょうか。
仏壇と墓石の販売員 三原 幸子さん
供養が必要なのは、本尊(※3)と位牌(※4)です。
仏壇本体・その他仏具などの供養は不要だと思います。
名称 | イメージ |
---|---|
本尊 | ※下の画像はタップで大きくなります。
|
位牌 | ※下の画像はタップで大きくなります。 |
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
私は、仏壇本体やその他仏具もセットで供養すべきと思います。
仏壇本体は、御本尊やご先祖さまのお住まいですし、仏具も御本尊やご先祖さまのためのものなので、大切にするべきです。
本尊と位牌だけ取り出し、その他は供養もせずゴミにだしてしまうのは感心できません。
にゃるほど!
意見が分かれましたね。
ちなみに浄土真宗の場合はどうでしょうか?
仏壇と墓石の販売員 三原 幸子さん
供養が必要なのは、本尊・法名軸(※5)・過去帳(※6)です。
こちらも、仏壇本体やその他仏具の供養は不要だと思います。
名称 | イメージ |
---|---|
法名軸 |
※下の画像はタップで大きくなります。
|
過去帳 | ※下の画像はタップで大きくなります。
|
仏教系大学の教員・僧侶 釋じょうほうさん
私は過去帳の供養も不要だと考えます。
なぜなら、故人の魂は過去帳に宿っているわけではなく、浄土におられるからです。
過去帳は、『浄土におられる方々(故人)の記録名簿のようなもの』だとお考えください。
うーん・・・。
ここも意見が割れましたね(汗)。
葬儀社に勤務中の葬祭ディレクター 太田 淳さん
そうですね。
宗派だけでなく、仏壇店やお寺によっても考え方がちがうようです・・・。
どうしても悩ましい場合は、供養してくれるお寺やお坊さんに確認するといいと思います。
※3
本尊とは、仏壇の中央に祀られ、信仰の対象となる仏像や掛け軸のことです。
※4
位牌とは、戒名を記してある木の札のことです。故人の霊を祀るためにあります。なお、浄土真宗の場合は基本的に位牌がありません。
※5
法名軸とは、死亡年月日や法名が記してある掛軸のことです(仏壇の内側にかかっています)。基本的に浄土真宗で用いられます。ちなみに法名は、戒名とほとんど同じものだと思ってください(浄土真宗の場合は法名と呼びます)。
※6
過去帳とは、故人の戒名や法名、俗名(その方の名前)、享年、死亡した年月日などが記録された帳面のことです。
菩提寺がなくても無問題
仏壇の供養をお願いするのは、基本的に菩提寺(※7)ですよね?
菩提寺がない(もしくは近くにない)場合はどうすればいいのでしょうか?
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
はい。
菩提寺がある場合はまず菩提寺に相談してみてください。
一方、菩提寺がない場合は、同じ宗派のお寺を探して相談するのがいいと思います。
仏壇店店員 安林 佳幸さん
なかには、宗派を問わず供養してくれるお寺もありますよ。
インターネットで検索するか、近くの仏壇店で相談すればお寺を紹介してもらえることもあります。
にゃるほど。
菩提寺がなくてもとくに問題なさそうですね。
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
ちなみに、菩提寺があるのにほかのお寺(お坊さん)に供養を依頼する場合は、菩提寺の了承をとっておきましょう。
そうしないと、後々お寺とのトラブルに発展する可能性がありますからね。
フムフム。
菩提寺にお願いしない場合でも、きちんと連絡しておいたほうがいいと。
※7
菩提寺とは、その家のお墓を管理しているお寺のことです。葬儀や法要の際は基本的に菩提寺のお坊さんに依頼することになります。
自宅で供養してもらうケースが多い
仏壇供養の際は、自宅にお坊さんを呼んで供養することが多いのでしょうか?
葬儀社に勤務中の葬祭ディレクター 太田 淳さん
はい。多いと思います。
ただ、仏壇店や専門業者に仏壇の供養や処分を依頼した場合は、自宅から仏壇を運び出した後に供養することもありますね。
この場合、お店や倉庫にお坊さんがいらっしゃって、そこで供養してもらうことになります。
フムフム。
仏壇供養の費用相場は1万~5万円
お坊さんに仏壇供養を依頼する場合の費用相場について教えてください!
こちらは、みなさんの回答を表にまとめてみました。
項目 | 相場 |
---|---|
お布施 | 1万~5万円 |
お車料 | 3,000~1万円 |
5万円以下が相場なんですね。
別途お車料もかかるとなると、なかなかの金額です・・・。
僧侶派遣サービスを利用した場合は3万~5万円
では、最近人気が出てきている僧侶派遣サービスで供養を依頼した場合、費用はおいくらほどかかるのでしょうか?
こちらは全国対応の主要業者の費用を調べ、表にまとめてみました。
項目 | お坊さんjp | おぼうさんどっとこむ | お坊さん便 | てらくる |
---|---|---|---|---|
全国対応 | ○ | ○ | ○ | ○ |
供養の際宗派を指定できるか | ○ | ○ | ○ | ○ |
仏壇供養のお布施 | 3万円 | 4万~5万円 (別途入会金1万円) |
3万5,000円 (※8) |
5万円 |
お車料 | 5,000円 | 無料~ (※9) |
僧侶派遣サービスってお得なイメージがありましたが、意外とそうでもないんですね・・・。
※8
『お坊さん便』の利用が初めてでない場合は、4万5,000円となります。
※9
東京都全域・埼玉県の一部・神奈川県の一部・千葉県の一部は無料
お布施の渡し方・渡すときのルールはこちらから
ここでは、閉眼供養(もしくは遷仏法要)でのお布施の渡し方・渡すときのルールについて専門家の意見を聞いてみたいと思います!
お布施はどんな袋に入れればいいの?
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
『御布施』と印刷された市販の封筒でよろしいです。水引(※10)はなしでかまいません。
また、無地の白封筒(郵便番号の表記がないもの)に、ご自身で『御布施』と書いたものでも問題ないですよ。
※10
水引は、祝儀袋や不祝儀袋に使われる飾り紐のことです。
お布施とお車料の袋は分けるべき
仏壇と墓石の販売員 三原 幸子さん
分けましょう。
ちなみに、お車料の袋は、無地の白封筒(郵便番号の表記がないもの)に、ご自身で『御車料』と書いたものでかまいません。
袋には『御布施』や『御車料』と書く
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
封筒の表側は、半分から上に『御布施』や『御車料』と書いてください(印刷されている場合は不要)。
そして、半分から下の部分に苗字かフルネームをご記入ください。
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
そして、封筒の裏側は、左下に金額を書いてもらえるとありがたいですね。
ちなみに金額を書くときは、漢数字(壱・弐・参・四・伍・六・七・八・九・拾・百・阡・萬)を使うのが正式です。
金額の上に『金』をつけて、円は『圓』と書き、止めに『也』を書きます。
5,000円なら『金五阡圓也』、3万円なら『金参萬圓也』ですね。
仏壇と墓石の販売員 三原 幸子さん
袋に記入する際は、黒い筆ペンか黒いサインペンを使ってください。
薄墨で書く必要はありませんよ。
できれば新札を用意しよう!
仏壇店店員 安林 佳幸さん
できれば新札を用意しましょう。
そして、袋に入れるときはお札の肖像画が表の上側にくるように入れてくださいね。
お布施は読経前に渡すべし
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
読経後に渡す方も多いですが、お布施は仏様へのお供え物ですので、読経前に渡すのが作法です。
お布施を渡すときのマナーを教えて
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
手で持って差し出すのはよろしくありません。
基本的に、切手盆(名刺盆)と呼ばれる四角いお盆に乗せてお渡しします。
切手盆がない場合は、小ぶりのお盆(派手でないもの)で代用してもかまいません。
仏壇店店員 安林 佳幸さん
渡すときの流れは以下です。
複数の袋がある場合は『御布施』を一番上にして重ねる
⬇
切手盆に袋を置く(自分が文字を正しく読める向きに置く)
⬇
お坊さんの前に座り、切手盆を畳(もしくは床やテーブル)に置く
⬇
お盆の上下を軽く持ち、時計まわりに回転させて、お坊さんのほうに向ける(お坊さんが文字を正しく読める向きに置く)
⬇
一言述べてから、お盆をお坊さんのほうに押す
⬇
お坊さんが袋を受け取ったら、お盆を下げる
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
はじめに渡す場合は「本日はよろしくお願いします。些少(さしょう)ですがお納めくださいませ」、終わってから渡す場合は「本日はありがとうございました。些少ですがお納めくださいませ」と一言添えればいいと思います。
仏壇処分の前にやっておきたい2つのこと
いざ仏壇を処分する前にやっておくことはありますか?
ここでは、『処分する前にやっておきたいこと』について、専門家のみなさんにお話を聞いてみました!
確認すべきは『引き出しの中』だけじゃない
仏壇の処分前に、中身を確認しておくべきすよね?
具体的にどこをよく確認するべきなのでしょうか?
こちらはみなさんの回答を箇条書きでまとめてみました!
- 引き出しの中やそのまわり
- 装飾の施されている部分(引っ張ってみたら隠し引き出しだったというケースも)
- 本尊や位牌のまわり
- 扉の内側
フムフム。
実際に仏壇の中にはなにが入っていることがあるのでしょう?
仏壇店店員 安林 佳幸さん
権利書、登記簿、通帳、宝飾品、数珠、手紙、写真など、大事なものが入っていることがありますよ。
葬儀社を経営している終活アドバイザー 富永 ゆかりさん
故人の遺言書や家系図なんかが入っていることもありますね。
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
本尊の裏にヘソクリが隠されていた・・・こともありました。
にゃるほど!
仏壇の中に金品や大事な書類が入っていることが多いんですね!
家族・親戚には連絡しておいたほうがいい
そのほかに、処分前にやっておいたほうがいいことはありますか?
葬儀社を経営している終活アドバイザー 富永 ゆかりさん
念のため、家族や親戚に連絡しておきましょう。
とくに、その仏壇がある家で育った方やゆかりのある方には一声かけたほうがいいと思います。
『うちで引き取って供養を続けたい』という方もいるかもしれませんから。
勝手に処分すると、後々トラブルになる可能性があります。
にゃるほど。
仏壇の処分方法のメリット・デメリット・費用を専門家が解説
ここからは、いよいよ仏壇の処分方法についてです。
具体的にどんな方法があるのでしょうか?
お寺に依頼すると割高で手間もかかる
お寺に処分をお願いすることもできますよね?
仏壇と墓石の販売員 三原 幸子さん
はい。
もちろんです!
では、お寺に処分を依頼するときのメリットとデメリットを教えてください!
葬儀社を経営している終活アドバイザー 富永 ゆかりさん
供養と処分を一緒にお願いできること、供養をきちんとしてもらえること、仏壇を丁寧に扱っていただけることがメリットです。
一方、費用は割高になる可能性が高いです。
また、お寺まで仏壇を運ぶ必要があるので、ご自身で運ぶか、別途、配送業者を手配しなければなりません。
うーん。
自分で運ばなければならないのに割高なのは嫌ですね・・・。
お寺に依頼する場合は数万円~数十万円
では、お寺に供養と処分を依頼した場合、費用はおいくらかかるのでしょうか?
こちらは、みなさんの回答を表にまとめてみました。
供養や処分の対象となるもの | 費用の相場 |
---|---|
仏壇本体+本尊 | 5万~30万円 |
仏壇本体+本尊+位牌 | 5万~40万円 |
仏壇本体+本尊+位牌+遺影+その他仏具 | 5万~50万円 |
にゃんと!
かなり幅がありますね。
仏壇店店員 安林 佳幸さん
そうですね。
お寺や仏壇のサイズ等によってだいぶ差があると思います。
また、こちらの金額には『仏壇の運搬にかかる費用』は含まれていないので、注意してくださいね!
仏壇店や専門業者なら手間がかからず割安
仏壇店や、仏壇専門の処分業者に依頼することもできると思うのですが、その場合のメリット・デメリットを教えてください!
葬儀社に勤務中の葬祭ディレクター 太田 淳さん
一番は、手間がかからないことでしょう。
仏壇の梱包・運搬から供養・処分まですべて請け負う業者がほとんどですから。
ただし、供養は自宅やお寺ではなく倉庫などで行われる可能性があります。
立ち会い不可の場合は、きちんと供養されているのか不安が残るかもしれませんね・・・。
にゃるほど。
すべてまとめて代行してもらえるのは嬉しいですね。
仏壇店や専門業者に依頼する場合は数万円
では、仏壇店や専門業者に供養と処分を依頼する場合、費用はいくらかかるのでしょうか?
インターネットで調べた仏壇店や仏壇処分業者の料金(目安)を調べてみました。
クマダ | 山崎典礼 | リセット (※11) |
仏壇処分.com | ||
---|---|---|---|---|---|
全国対応 | ○ | ○ | × | ○ | |
供養の際宗派を指定できるか | × | × | × | × | |
税込料金 (対象となるもの別) |
仏壇本体+本尊 | 1万5,000~7万円 | 2万~3万3,000円 | 3万8,500~7万7,000円 | 8,500~2万8,800円 |
仏壇本体+本尊+位牌 | 1万5,000~7万円 | 2万~3万3,000円 | 4万1,800~8万300円 | 1万2,000~3万2,300円 | |
仏壇本体+本尊+位牌+遺影+その他仏具 | 1万5,000~7万円 (※12) |
2万~3万3,000円 | 4万5,100~8万3,600円 (※13) |
1万2,000~3万2,300円 | |
運送料 | 料金に込み | 2,500~1万円 (※14) |
料金に込み | 1,540~4万5,155円 |
地域や仏壇のサイズによって料金が変わるみたいですね。
今回は『クマダ』の料金(仏壇のサイズごとの料金)を調べてみました。
仏壇の大きさ (3辺の大きさの合計) |
税込料金 (運送・供養・処分含む) |
---|---|
~150cm | 1万5,000円 |
~200cm | 2万円 |
~250cm | 3万円 |
~300cm | 4万円 |
~350cm | 5万5,000円 |
~400cm | 7万円 |
このように、各社ルールがちがうので注意しましょう。
※11
今回載せている料金は、「東京23区・千葉県の一部・埼玉県の一部」の料金です。
※12
仏具等が仏壇内に収まりきらない場合は5,000円の追加料金がかかります(ダンボール1つ分で5,000円追加)。
※13
過去帳を追加する場合はプラス3,300円となります。
※14
こちらは、自身で配送業者を手配する場合の料金です。この場合、梱包は自分で行う必要があります。
粗大ゴミとして処分するのは意外に損
仏壇を粗大ゴミとして処分することもできると思いますが、この場合のメリット・デメリットを教えてください。
仏壇店店員 安林 佳幸さん
処分費用はかなり安くおさえることができます。
ただし、そもそも仏壇を受け付けていない自治体もありますし、仏壇の大きさ・材質によって受け取りを拒否されることもあります(※15)。
仏壇を解体すればゴミに出せることもありますが、素人が大きな仏壇を解体するのは、かなり大変だと思いますね・・・。
葬儀社を経営している終活アドバイザー 富永 ゆかりさん
仏壇が大きい場合は、粗大ゴミ置き場まで持っていくのが大変ですし、そこに仏壇を置くことに抵抗がある方もいるでしょう。
近所の方に見られてしまうおそれもありますしね・・・。
ご自身でゴミ処理場まで持っていくこともできますが、この場合は人手や車が必要になります。
にゃるほど。
そもそも仏壇を受け付けてもらえなかったり、解体しなければならなかったりするんですね。
まずは、自治体の粗大ゴミ担当に問い合わせて、そのときに仏壇の大きさや材質も確認しておくようにしましょう。
仏壇店店員 安林 佳幸さん
ちなみに、仏壇本体以外の位牌・遺影・仏具等は、普通にゴミとして処分できます。
各自治体のルールに沿って分別してくださいね。
捨てるときは、新聞紙で包むなどして中身がわからないようにするといいと思います。
フムフム。
たしかに、位牌などを裸のまま捨てるのは抵抗がありますもんね・・・。
※15
本紫檀・本黒檀・鉄刀木・本欅・黒柿などの硬い材質で作られた仏壇は、受取りを拒否されるか、別料金を請求される可能性があります。
『供養代+粗大ゴミ』の処分料で数万円はかかる?
仏壇・位牌・仏具等をゴミに出す場合、費用はいくらかかるのでしょうか?
こちらはみなさんの意見を表にまとめてみました。
処分の対象となるもの | 費用の相場 |
---|---|
仏壇本体 | 1,000~2,000円 (粗大ゴミ) |
本尊・位牌・遺影・その他仏具 | 無料 (通常のゴミ) |
たしかに、処分費用だけみると、安いですね。
でも、お坊さんに供養をお願いする場合、別途1万~5万円かかるので、合わせるとあまりお得感がないかもしれません・・・。
場合によっては、仏壇処分業者にすべてまかせるほうが安く済みそうです。
仏壇処分業者の探し方と選定のポイントを専門家に聞いてみた
仮に仏壇処分業者に依頼するとしたら、業者はどのように探せばいいのでしょうか?
また、なにを基準に業者を選べばいいのでしょう?
ここでは、業者の探し方や選び方について専門家のみなさんにお話を聞いていきます!
仏壇処分業者の探し方
仏壇処分業者はどのように探せばいいのでしょうか?
仏壇店店員 安林 佳幸さん
インターネットで検索するか、タウンページなどの電話帳で探す方法があります(※16)。
葬儀社を経営している終活アドバイザー 富永 ゆかりさん
お知り合いの葬儀社・仏壇店・お寺などに聞いてみる手もありますね。
フムフム。
自分で検索するか、紹介のどちらかということですね。
※16
検索エンジン(GoogleやYahoo!)で『仏壇処分』などのキーワードで検索してみてください。『仏壇処分 東京』など、地域を指定したほうが検索しやすくなります。
業者を選ぶときのチェックポイント
候補の業者がたくさんあって絞り込めない場合は、どんな点でチェックすればいいのでしょうか?
こちらは、みなさんの意見を箇条書きにまとめてみました。
- あなたのお住いの地域に対応しているか
- 見積りは無料か
- 見積りはホームページもしくは電話で可能か
- どの宗派でも対応しているか(あなたの宗派に対応しているか)
- 仏壇本体・本尊だけでなく、位牌・遺影・仏具等の供養や処分に対応しているか
- 供養は、だれが・どこで・どのように行うのか
- 証明書は発行してもらえるか(必要な場合のみ)
- 供養後はどのように処分されるのか
- 梱包や配送の手配は不要か(すべておまかせできるか)
- 仏壇引き取りの日時を指定できるか
仏壇店店員 安林 佳幸さん
こだわりを明確にしておくことが大切です。
たとえば、「高額でもいいから供養方法・処分方法にこだわりたい」場合と、「供養と処分さえできればいいからとにかく安いほうがいい」場合では業者の選び方が異なります。
こだわるポイントを踏まえたうえで、ご自身が納得できる業者を選ぶようにしてください。
また、いきなり1社にしぼるのではなく、できるだけ複数の業者から見積りをとるようにしましょう。
にゃるほど。
たしかに、人によって気になるポイントは違いますね。
見積り時・契約時のチェックポイント
では、見積りを取ったときや契約するときに注意すべきポイントはありますか?
こちらもみなさんの意見を箇条書きにまとめてみました。
- 料金やその内訳は明瞭か(仏壇処分料や仏壇運搬料などの項目だけでなく、人件費・車両費・梱包費などが細かく明記されているか)
- 追加料金が発生するケースや追加料金について
- 仏壇を運び出す際に家やマンションが傷ついた場合はどうなるのか(補償の有無)
- スタッフの対応は丁寧か、質問にしっかり回答しているか
葬儀社の経営者 大作 健さん
追加料金についてはとくに注意してください。
たとえば、下記のような場合は追加料金が発生します。
- 仏壇が重い(重くなる素材が使われている)
- 仏壇が大きく、運ぶときに2人以上必要
- 『入り口が狭い』『階段がある』など、運びにくい条件がそろっている
- 自宅から駐車場まで距離がある
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
仏壇を運び出す際、家の中やマンションの廊下などを傷つけられてトラブルになるケースもあるみたいです。
このような場合に補償してもらえるのか、確認したほうがいいかもしれませんね。
仏壇店店員 安林 佳幸さん
サービス内容・料金・補償などについて口約束をするのはやめましょう。
書面にするか、ボイスレコーダー等による録音がオススメです。
書面を作成するのがベストですが、難しい場合は、メモ用紙に約束した内容と日付を記し、担当者に業者名と担当者名(サイン)を書いてもらいましょう。
一方、ボイスレコーダーを使う場合は、相手に業者名と担当者を名乗ってもらうようにしましょう。
こっそり録音するのではなく、事前にことわってから録音するようにしてくださいね。
にゃるほど。
たしかに、追加料金のこと、補償のことなどはしっかり確認したほうがいいですね。
作業を手伝えば料金は安くなるかも・・・
もらった見積りが予算より高い場合、どうにか金額を下げる方法ってありますか?
仏壇店店員 安林 佳幸さん
予算オーバーの場合は、『こちらでもお手伝いできることはないか?もしあるなら手伝うので、もう少し安くできないか?』と交渉してみてもいいと思います。
業者としても、みすみす契約を逃すより値引きしたほうがいいですからね。
にゃるほど。
できる範囲で作業を手伝えば、多少安くなるかもしれないんですね。
仏壇処分のみんなが気になる質問に専門家が回答!
ここからは、仏壇処分に関してみなさんが気になる質問をご紹介していきたいと思います!
専門家のみなさんに回答いただいているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
供養してあれば仏壇を粗大ゴミに出していいの?
仏壇と墓石の販売員 三原 幸子さん
はい。
きちんと供養をしていれば、処分しても問題ありません。
仏壇店店員 安林 佳幸さん
大丈夫です。バチなど当たりません。
むしろ、『よくないことが起きる』と信じているとよくないことを引き寄せてしまいますよ。
供養せず仏壇を処分したらバチが当たる?
仏教系大学の教員・僧侶 釋じょうほうさん
仏様は慈悲の存在なので罰を当てたりしません。
とはいえ、大変失礼なのは事実です。
悔いる気持ちがあるなら、今後は仏様を大切にして、手を合わせる心を持って過ごしていただければと思います。
葬儀社を経営している終活アドバイザー 富永 ゆかりさん
どうしても気になる場合はお寺に相談してみましょう。
また、きちんとお墓参りをするなど別のことで供養してあげるといいと思います。
位牌を処分する場合は過去帳にうつす必要がある?
仏教系大学の教員・僧侶 釋じょうほうさん
できれば、過去帳に移したほうがいいと思いますが、あくまで任意です。
また、必ずしも僧侶に依頼する必要はありません。
ご自身で書いていただいてけっこうです。
日蓮宗の尼僧 猪俣 紫蘭さん
位牌の処分前、魂抜きの際に、お坊さんに書いてもらうのがいいのではないでしょうか。
お布施の相場はあってないようなものですが、5,000~1万円だと思います。
まとめ
最後に今回の内容をまとめていきましょう!
仏壇処分の前には供養が必要
- 浄土真宗以外の場合、『仏壇には故人の魂が宿っている』と考えられているので、その魂を抜くために閉眼供養を行う
- 供養の対象となるもの・・・本尊・位牌
- 浄土真宗の場合、仏様に『仏壇の移動や処分を報告し、敬意を示すため』に遷仏法要を行う
- 供養の対象となるもの・・・本尊・法名軸
- 菩提寺がなくても問題ない(同じ宗派のお寺や、宗派問わず供養してくれるお寺に依頼する)
- 仏壇供養のお布施相場は1万~5万円、車料の相場は3,000~1万円(僧侶派遣サービスの相場は、車料など込みで3万~5万円)
仏壇処分の前にやっておきたいこと
- 仏壇の中に金品や大事な書類が入っていることがあるので、中身をよく確認しておく
- 引き出しの中やそのまわり
- 装飾の施されている部分
- 本尊や位牌のまわり
- 扉の内側
- トラブルを避けるため、家族や親戚(その仏壇がある家で育った方やゆかりのある方)には連絡すべき
処分方法ごとのメリット・デメリット・費用
お寺に依頼 | メリット |
|
---|---|---|
デメリット |
|
|
費用相場 (供養+処分) |
5万~50万円(運搬費除く) | |
仏壇店や専門業者に依頼 | メリット |
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デメリット | 供養に立ち会えないことがある(業者の倉庫などで供養される) | |
費用相場 (供養+処分) |
1万5,000~8万円 | |
粗大ゴミとして処分 | メリット | 処分費用は安くおさえられる |
デメリット |
|
|
費用相場 (処分) |
1,000~2,000円 | |
費用相場 (供養) |
1万~5万円 |
仏壇処分業者の探し方
- インターネットで検索する
- タウンページなどの電話帳で探す
- 知り合いの葬儀社・仏壇店・お寺などに紹介をお願いする
業者を選ぶときのチェックポイント
- あなたのお住まいの地域に対応しているか
- 見積りは無料か
- 見積りはホームページもしくは電話だけでできるか
- どの宗派でも対応しているか(自分の宗派に対応しているか)
- 仏壇本体や本尊だけでなく、位牌・遺影・仏具等の供養や処分に対応しているか
- 供養は、だれが・どこで・どのように行うのか
- 供養したことの証明書は発行してもらえるか(必要な場合のみ)
- 供養後はどうやって処分されるのか
- 梱包や配送の手配は不要か(すべておまかせできるか)
- 仏壇引き取りの日時を指定できるか
見積り時・契約時のチェックポイント
- 料金やその内訳は明瞭か(仏壇処分料や仏壇運搬料などの項目だけでなく、人件費・車両費・梱包費などが細かく明記されているか)
- 追加料金が発生するケースや、追加料金の金額について
- 仏壇を運び出す際に家やマンションが傷ついた場合はどうなるのか(補償の有無)
- スタッフの対応は丁寧か、質問にしっかり答えてもらえるか
- 予算オーバーの場合は『こちらでもお手伝いできることはないか?もしあるなら手伝うので、もう少し安くできないか?』と交渉してみてもいい
いかがでしたか?
ここまでお読みいただければ、仏壇の供養・仏壇の処分方法・仏壇処分業者などについて基本的なことはおわかりいただけたと思います。
この記事が、あなたの仏壇処分のお悩みを解決する助けになれば幸いです。
また、今回ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました!